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オーストラリアからの電話 [飛田給・桂荘物語]

伊勢崎さんは学生時代の秘密結社の先輩でした。
タマゴの恩人のひとりです。
大学4年のとき、オーストラリアへ旅立って行かれました。
ワーキングホリデーというやつです。
半年近くが過ぎ、そろそろ伊勢崎さんの帰国という頃。

ある日、電話が鳴りました。
「ハロー、ミスターたまご!」。
さては、伊勢崎さんがオーストラリアから国際電話を!
大恩ある先輩からの電話、思わず緊張しました。
すると、続けて、
「ジスイズ オーチ、スピーキング」。
紛らわしい電話をするなよ、桜痴!
桜痴くんは結社の同輩で、その頃英会話スクールに通っていたのです。

それから三日と空けず、桜痴くんから電話がかかってくるようになりました。
「ハロー、ミスターたまご!ジスイズ・・・」。
タマゴもだんだん付き合うのが面倒になってきました。

そして、その日がやってきました。
電話をとると例によって、
「ハロー、ミスターたまご!」。
さすがにもう初級英会話につきあう忍耐はありませんでした。
「おい!桜痴。おまえなぁ、いいかげんにしろよ」。

すると向こうから
「ジスイズ イセザキ スピーキング」。
言うに事欠いて、よりにもよって偉大なる先輩の名を騙るとは!許せん!
「桜痴!それは伊勢崎さんに失礼だろ!」
「ジスイズ イセザキ スピーキング・・・・」
「だ・か・ら!おまえなぁ・・・・いいかげんにしろよ」
「ジスイズ イセザキ・・・・」
「やめろ!おまえ、桜痴だろ!わかってるんだぞ!」

すると、電話の声は俄かに哀願調に。(ついでに日本語に)
「タマゴ~・・・・信じてくれよ~・・・
 オレだよ~・・・・伊勢崎だよ~、ホンモノの伊勢崎だよ~」
「・・・・・ホントに伊勢崎さんですか・・・・?」
「そーだよー。オーストラリアから電話してるんだよ~。信じてくれよ~」
「・・・・・ホントに伊勢崎さんですよね・・・・?」
「そーだよー。頼むから信じてくれよ~」。

ホンモノの伊勢崎さんとわかり、タマゴが平身低頭したことは言うまでもありません。
受話器を握ったままペタンと正座して、
「ハハァーッ・・・・失礼こきました。・・・・屁もこきました」。
タマゴの疑り深い性格はあの頃からのようです。


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horigon

おはようございます。
たまごさんは、良き先輩と同輩に恵まれているようで、記事を読んで
文章とは裏腹に、心温まる気持がしました。
ころから年齢を重ねるごとに、そういった仲間は有難い存在になるはずですよ。(^^)
by horigon (2007-06-04 06:22) 

桜蘭

気のながい素晴らしい先輩を持って幸せですね^^
いい人にはいい人が・・・^^
by 桜蘭 (2007-06-04 08:24) 

okko

桜痴君からの電話は、「ディス・イズ・オーチスピーキング・・・」以降は、日本語に変わったわけですな。
先輩の声ぐらい、聞き分けられんでどうするだいや!
失礼こいて?ヘをこいて、トイレに走り、赤面号泣するたまごさんでした。 パチパチ!
by okko (2007-06-04 09:59) 

侘び助

オオー伊勢崎調ブルースが聞こえる~
by 侘び助 (2007-06-04 10:10) 

温泉たまご

☆horigonさん。
後に帰国した先輩は誰彼かまわず、
「やっぱりタマゴは恩知らず。冷血人間だったぞ!」と吹聴してました。
当時の結社の仲間はやはり貴重な財産です。

☆桜蘭さん。
先輩が気が長かったというか、タマゴが鈍かったというか・・・。

☆okkoさん。
そうそう、彼にそれ以上の英会話能力はありませんでした。
もしかしたら「ハワユー?」くらいは言っていたかも。
伊勢崎さんにはその他、数え切れぬほどの非礼を働いたものです。

☆侘び助さん。
うまい!そうきましたか~。こりゃ、一本とられましたわー。
by 温泉たまご (2007-06-06 23:54) 

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